アイドル化した声優は、ファンやマネージャーの期待や要求に対応するために、自分に厳しくなりがちです。その結果、無理なダイエットや過度な努力をしてしまい、健康状態を悪化させてしまうこともあるのではないでしょうか。声優としての成功を追い求める一方で、バランスを保つことも重要です。
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〈「アフレコによる収入だけでは食っていけない」声優が「アイドル・タレント化」してしまった特殊事情〉から続く
「近年は有名なタイトルに数多く関わっているような声優が活動休止するニュースが相次いでいます。その多くは、アイドル/タレント的な活動を行っている人気声優です」
近年、活動休止する声優が増えた理由とは? アイドル声優のプロデュースに関わる株式会社スタイルキューブ代表のたかみゆきひさ氏の新書『アイドル声優の何が悪いのか? タレントとしての声優マネジメント』(星海社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/前編を読む)
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声優事務所のリソース不足
声優のアイドル化/タレント化が進行してきました。これは1970年代のいわゆる「声優ブーム」から、現在に至るまで進行し続けている状況ではありますが、近年急激に肥大しました。これによって起きたのは次の事態です……。
マネージャーのやるべき仕事がめっちゃ増えた!
「なんだそんなことか」と思われるかもしれませんが、これはかなり重大な事態です。
先ほどご説明したように、タレント=声優ひとり当たりに対する人的リソースが、声優事務所はもともと少ない傾向にあります。つまり声優としての仕事以外、アイドル/タレント的な業務の面倒を見るだけのリソースが足りていないのです。また、声優が人気になり、スキャンダルや事件を起こしてしまったとき、事務所がその対応にも追われることになります。事務所の利益(取り分)を考えると、本来そこまでするようなことではないことにもリソースを割かねばならない状態です。
事務所側が声優に対して心ない対応をしているわけでは、まったくありません。各マネージャーは、それぞれ力の限り声優のために尽くしていると思います。しかし、マネージャーの絶対数が足りていないのです。「足りないなら雇って増やせばいい」と思われるかもしれませんが、これまで何度も出てきているように声優というビジネスにおいて声優ひとり当たりに対する人件費が潤沢にあるわけではありませんし、タレント化した声優のマネジメント業務は一朝一夕に習得できるものでもありません。
以前、他社のマネージャーが「高校生なんてどう面倒見ていいかわからないよ」と嘆いていたことがあります。そう、「タレント化した声優」の面倒を見るというのはこれまでに無い側面が多々あったのです。
そして、いまや声優事務所の社員それぞれの努力ではどうにもならないくらい、声優たちの仕事は質も量も変化してしまいました。それなのにギャラが増えるわけでもなく、事務所と声優との間の取り分が大きく変わることもない状態が続いているのです。事務所の負担が増えるからといって事務所の取り分を増やすと、声優としてはこれまでより減るわけですから、なかなか難しい問題なんです。
声優のギャラを維持するには極端な話、声優事務所の業務体制がブラック化するか別の収入でなんとかせざるを得ない状態ともいえます。
未成年の声優の増加とノウハウの不足
声優事務所の仕事において質的な変化が起きているのは、若年層、とくに未成年の声優のマネジメント業務の増加です。これまでの声優事務所は、声優に対して「個人事業主主義」的、いわゆる「エージェント契約」的なスタンスで接してきました。つまり自立した「大人」をパートナーとして仕事をしてきたわけです。
しかし、心身ともに未熟な10代に対して、同じ態度で接することは適当ではないでしょう。本人だけではなく保護者の方ともコミュニケーションを取る必要がありますし、マネージャーは現場へ付いて回る必要があります。アイドルとして重用されるケースも多いため、様々なことからタレントを守らなければならないことも増えてきます。
事務所側がサポートしなければならない領分は、大人を相手にするよりはるかに多く複雑になることはみなさんも想像できるでしょう。いままでの声優事務所とはまったく異なる仕事に当たるため、労働力だけでなく独特の専門スキルが求められるところでもあります。
「声優とは大人として自立しているもの」という、これまで声優業界が前提としていたスタンスが通用しなくなっているのです。前述の通り、声優事務所側はもともとエージェント契約的なスタンスですから、こうした世の中の流れに対するマネジメント業務的なノウハウも不足していました。
しわ寄せの矛先は……
声優のアイドル化/タレント化の進行。それに対する声優事務所のリソースとノウハウ不足。
しわ寄せの矛先は、人気声優とそれを支えるスタッフたちへと向かいます。
声優ファンの方は心当たりがあると思いますが、近年は有名なタイトルに数多く関わっているような声優が活動休止するニュースが相次いでいます。その多くは、アイドル/タレント的な活動を行っている人気声優です。
人気コンテンツをプロデュースしている業界人にとっては、もはやそうした事態が起こるのは日常茶飯事といってもよいほどです。しかも表に出ているのは、ごく一部。もちろん、本人にも周囲にもどうにもできない類の病気で休んだり、その他家庭の事情などが原因で廃業せざるを得ない方は致し方ありません。ですが、やむなく体調不良で休業する方が続出している……。長きにわたったエージェント体制(声優なんだから自立した大人なはずだよね)という認識(これは事務所だけでなく、業界的な認識)。ゆえにこうした変化があるにも関わらず気づきづらい、対応に至りづらい状況と考えられます。
アイドル化/タレント化した声優ほど、仕事量は多く、仕事の質も複雑です。声優側は、人気になるほど自分は忙しいのに事務所はそれに見合ったフォローをしてくれない……そのような考えに陥って心身を衰弱させてしまうことでしょう。
もちろん経営の差配ではあるので、タレントに不満を抱かせてしまうことは基本的に事務所側の落ち度と言われてしまうかもしれません。ですが事務所は、人気声優だけをマネジメントしているわけではなく、所属している声優全員をマネジメントしています。マネージャーはひとりで何人もの声優を担当していたりします。必死にフォローをしようとしても仕事量に限界はあります……事務所側の人材も、実は無理がたたって心身を壊して休職/離職してしまうケースが多数発生しているのです。そして、事務所の取り分が少ないからと言って、声優に対して「病んでも面倒見られない。自分のことは自分でやりなよ」とはさすがに言えません。
このように、声優も声優事務所も疲弊しているのが現状です。そんななか、みなさん本当によくやっていると思います。
(たかみ ゆきひさ/Webオリジナル(外部転載))
(出典 news.nicovideo.jp)
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ネットの反応
そうだね、だから声優に歌って踊らせて楽器やらせるのやめよ?吹き替えやアニメのアテレコだけで声優が食べていけるようにするべき
アイドル声優とか言ったところで地上波に出てもただの声優としか紹介されない。所詮世間の評価は声優=声あてる人という認識でしかない。結局アイドル声優を求めてるのは一部のファンだけなんだよな
昔は声の演技ができれば良かったのに、今では多少下手でもルックス・歌が良い声優の方が売れてるように感じられる。アイドル声優と呼ばれる者達の出現により質が落ちてるのは間違いないな。供給過多だし、今売れててもいつか淘汰されるだろう
人によっては一時期アイマス、アイカツ!、プリリズ、ラブライブ!みたいな歌って踊るアイドルアニメに2、3本同時出演していた人もいるからな。アニメだけではなく歌のレコーディングや、何ならイベントで踊ったりもするからスケジュールやばそうとは思った。あとさらにアイマスやウマ娘とかのソシャゲだと、明確な終わりがない分、さらに辛そう。
不祥事起こして降板させられたシャニマスの声優がバラされたときは「地下アイドル」とか、相手側の女性に言われたっけ。歌って踊っての活動とレッスンを押し込みすぎて他に仕事が来ない・できないのでは声優である意味はないわな
やる事が増えたらギャラも増やせ、というシンプルな難題はどの業界にもあるんやな……
これだけの話で声優に歌わせるなだのなんだのと言うのは何の解決にもなっていない。ただでさえ仕事量に対して人数が多すぎるという状況なのに、そこで仕事を減らしたら食えない声優が増えるだけ。
ラーメンで例えるとトッピング無料が当たり前の状態なんだ。もちろん昔から無料トッピングなんてものは存在するけど、今のトッピングに求められる質が高すぎるんだよな。
その割にミュージカルやってました歌もダンスもやりたいしステージも出たいです、って人に中々メイン級の仕事が来ないのもなぁ・・・。誰だよって言われそうだからメジロライアンの人だよとか書いておくけども
ん?声優ってタレントの一部だろ?んん??タレントをどういう定義で使ってんだこれ?
声優に多様化求めすぎなんだよな。アテレコやキャラソンの収録だけでいいのに、歌って踊ってバラエティーに出演させたりと働稼ぎ